パール
基礎知識 パールの種類 パールの構造&形成 パールの養殖

基礎知識

パールR写真
硬度 比重 屈折率
3 2.71 1.53〜1.68

和名 真珠
白、クリーム、ピンク、金、銀、黄、青、黒
宝石ことば 純粋無垢、健康
備考 6月の誕生石、12年目の結婚記念石

  歴史・伝説・パワーのお話
パールとは

パールとは、アコヤ貝など、貝の体内に異物が入ったとき、貝が自己防衛の為に貝殻と同じ物質を分泌して、その異物を害のないよう巻き込んでしまう活動から生まれるものです。

アラゴナイトの層である真珠層が積み重なって固いパールとなるのですが、この層からの光の反射が、虹色の"オリエント・オブ・オパール"と呼ばれるパール独特の光沢となるのです。

理論的にはすべての貝がパールをつくり得るわけですが、宝石としての美しさを持つものになると、自然と貝は限定されます。

現在では、パールはそのほとんどが養殖パールです。



歴史
人類と天然パールは太古の時代から深く関わってきました。その名は旧約聖書や新約聖書にも見られ、また日本でも古事記や日本書紀、万葉集などに「しらたま」「あわびだま」「まだま」などの言葉で頻繁に登場します。

海から採れた自然のままで美しい姿をしているため、長い間「宝石の王様」と考えられていました。研磨技術の発展とともに、1450年ごろからその地位をダイヤモンドに譲りましたが、その後も「宝石の女王」として、変わらず人々に愛されています。


産地
天然パールは、数千年も前からペルシャ湾やインド洋のマナール湾、紅海等で採取されてきました。

養殖パールの主用地は以下のとおりです。やはり日本が有名ですね。
和珠 日本(愛媛、三重、長崎、熊本など)、中国
南洋パール オーストラリア、インドネシア、フィリピン、タイ、ミャンマー、日本(奄美大島)
黒蝶パール タヒチ、日本(石垣島)
マベパール 日本(奄美大島から沖縄)など
淡水パール 中国、日本(琵琶湖、霞ヶ浦)
コンクパール カリブ海


パールの品質
パールの品質は、真珠層の「巻き」、「てり」と呼ばれる光沢、「形」、「色」、「サイズ」、「きず」などで決まります。キズの有無も評価の対象にされますが、ほとんどの真珠には「へそ」と呼ばれる成長の痕跡がありますので、つけたときに目立つものでなければそれほど気にすることはないでしょう。

無キズで、色、形、巻き、光沢すべて最高のパールは「花珠」と呼ばれ、大変な希少価値があります。


巻き 真珠層が厚いほど「巻き」の良い真珠とされ、深みのある光沢が出ます。表面がきめこまやかで光沢がよく、くぼみなどが少ないほど評価が高くなります。
真円に近いほど良い形とされますが、調和のとれたバロック真珠(変形真珠)も高く評価されます。大きさは大きいほど価値が上がりますが、母貝の種類によっても基準は異なるでしょう。
色みは好みによって分かれますが、一般的に和珠ではややピンクがかった白色が良質とされています。南洋パールではややシルバーがかった白色、黒蝶パールではやや緑がかった黒色が良質とされています。


ファッション  

お嫁入り道具の一つとしても数えられるパールは、冠婚葬祭といったどんなTPOにも合う宝石として有名。また、和服、洋服を問わず、着用する人の清楚さ、優雅さを引き出してくれます。

★淡水パール、バロック真珠など個性的な形の真珠や大粒パールは慶事やカジュアルなファッションには引き立ちますが、喪服にはアンバランスな感じになります。

★胸元にデザインの多いドレスでも、パールのロングネックレスなら品よく着こなすことができます。

★少しずつ珠の大きさが変化していくグラデーションネックレスは、首から頬にかけてのラインをすっきり見せてくれます。

★顔の丸い人はマベのような丸いイヤリングはさけた方が良いでしょう。顔の細い人は、イヤリングをつけるとイメージを横に広げてよりよく映えます。

★織や柄が美しい着物には、控えめなパールのリングや帯留めがマッチします。



お手入れ法
パールは変色変質しやすいデリケートな宝石です。つけた日は拭く、という習慣をつけましょう。ただし、ほこりがたくさんついた布で拭くと、そのほこりで真珠にキズがついてしまいますのでご注意を。

宝石専用の布、それがなければ柔らかい布タオルをぬるま湯でぬらしてパールを拭き、そのあと乾いた布で乾拭きします。パール自身はお湯につけないで下さい。 ネックレスは糸を引っ張らないよう、滑らせるように。リングは裏側も丁寧に拭いてください。

ネックレスの糸は、2〜3年に1回、お店で取り替えてもらうことをおすすめします。


取り扱い
硬度が低いため、ぶつけたりしないよう注意が必要です。また、保管の際は他の宝石と一緒にしないでください。
極端に乾燥したり、水につかった状態になると、真珠層にひびが入る場合があります。
パールの主成分である炭酸カルシウムは、酸で容易にとけてしまいます。ヘアスプレーや除光液、香水、またドレッシングやマヨネーズ、果汁の汁などにも気をつけてください。 汗も酸性ですので、真夏の使用は特に気をつかってください。(水道水に含まれる消毒液も酸性ですのでご注意を。)
紫外線に長時間さらされると、黄色くなってしまいます。
熱、温泉でも侵されるので注意。


模造パール

模造パールは、合成真珠箔という一種の塗料を使って、みかけを天然パールや養殖パールに似せているものです。たとえ天然パール、養殖パールでも、その表面層を真珠質でないもの(プラスチック真珠など)で被えば模造パールとなります。

一見するとパールとそっくりの「てり」がありますが、 鑑別法は顕微鏡で100倍位に拡大して表面を見れば一目瞭然です。パールには結晶に起因する指紋様の模様があるのに対し、模造は卵の殻のように平坦に見えるからです。

簡単な見分け方としては珠どうしをこすり合わせる方法があります。模造品がつるっとすべるのに対し、パールはかちっとひっかかりを感じます。

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