カラーストーン
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スピネル
スピネルR
硬度 比重 屈折率
8 3.6 1.71〜1.75

和名 尖晶石
赤、ピンク、紫、青、緑、オレンジ、無色
宝石ことば 安全
類似石 ルビー、サファイアなど

うるみをおびた、こぼれそうな赤。歴史上、ルビーとよく混同されてきた石。
スピネルは超自然的な力や薬としての力があると考えられてきました。また出血や炎症、怒りや仲違いをなだめるためにも用いられたといいます。


カラー・バリエーション&特性
スピネルは種々の不純物が含まれているため、色のバリエーションが豊富で、透明度も高いものからほとんど不透明なものまであります。赤色のスピネルはクロムや鉄が原因で、青いスピネルの石は鉄、稀にコバルトが原因となっています。

稀に、カボションカットすると、4条から6条のスターが見られるものもあります。結晶は正八面体で、内部特徴は非常に小さな結晶が多数分布しています。


コランダムとの混同
スピネルはコランダムと同様に各色があり、また同じ場所で産出されるので、古くからよく混同されてきました。スピネルという鉱物の存在が知られたのが18世紀になってから、というのですから驚きですね。

歴史上「ルビー」と考えられてきた有名な赤い石は、実は「スピネル」だった、という話も多くあります。(以下の「黒太子のルビー」参照)


産地
スリランカ、アフガニスタン、アメリカ、オーストラリア、ミャンマー、ロシア、インド、タイなど


名前の由来
スピネルの名は、とがった形の結晶にちなんで、ラテン語の「とげ」を意味する「spina」に由来しています。


「黒大使のルビー」
イギリスの戴冠式用王冠の中央に輝く「黒大使のルビー」は、長い間ルビーと信じられてきましたが、実はレッド・スピネルでした。

14世紀、この石の持ち主はスペイン、グラナダの王アブ・サイド。しかし、彼は隣国カスティリアの王ペドロに暗殺され、石を奪われてしまいます。今度はペドロ自身、兄弟のエンリケに叛かれてしまい、フランスに逃亡。ペドロはそこで格好の援護者、イギリスの皇太子エドワードに会います。

皇太子エドワードの通称は「黒太子(ブラック・プリンス)」。その名のいわれは、戦場で黒い甲冑に身をつつんでいるからだけではなく、残虐な略奪行為で人々を震撼させたことにもよるのでしょう。
ペドロは黒太子に、エンリケを討つよう頼みます。多額の金と美しい”ルビー”を謝礼として。
エンリケはイギリス兵をひきつれた黒太子に討ち取られ、そして黒太子のもとにこのスピネルが贈られました。

それは、黒太子が殺した人々の血が閉じ込めれているかのような、すさまじく輝く真っ赤なスピネル。

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その他、ブルゴーニュ公シャルルの所有していた「三兄弟」というルビー、また英国王室の「ティルーム・ルビー」も実はスピネルだったということです。



合成スピネル
スピネルが合成されたのは1910年から。合成コランダムと同じく、ベルヌーイ法(火焔溶解法)で作られます。無色のものはダイヤモンドのイミテーション、色をつけたものはアクアマリンやジルコンなどのイミテーションとして使われてきました。また、コバルトで着色した青色のスピネルは、サファイアのイミテーションに使われてきました。
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