硬度、比重、屈折率

宝石の性質を知る手がかりとしてよく知られているのが、宝石のスリーサイズともいえる、硬度、比重、屈折率です。ここでは、それぞれについて詳しくご紹介します。


硬   度

石の硬さを表す硬度は、宝石の重要な性質のひとつです。石がどのくらい引っかき傷に耐え得るかで測定され、1から10に分けたモースの硬度計で分類されます。硬い宝石は評価が高くなります。モースの硬度はあくまで硬さの順番を表しているので、番号間の硬さの差は等しいわけではありません。

●モース硬度

ドイツの鉱物学者フリードリッヒ・モースが考案したもの。鉱物の相対的な硬さを分類するために使用され、一般的な鉱物10種類を選び、相互に引っかき傷をつけられるかどうかの順番で並べてあります。


モース硬度 宝石名 性質
10 ダイヤモンド

物質の中で最も硬い存在

9 ルビー、サファイア ダイヤ以外の宝石には傷をつけることができる
8.5 キャッツアイ
アレキサンドライト

8 トパーズ、スピネル やすりで傷がつかない
7.5 エメラルド、ガーネット
アクアマリン

7 水晶、トルマリン、翡翠 やすりでわずかに傷がつく
6.5 ペリドット、ヘマタイト
6 トルコ石、ラピスラズリ やすりで傷がつく
窓ガラスよりやや硬い
5.5 オパール
5 黒曜石、憐灰石 窓ガラスとほぼ同じ硬さ
4 マラカイト、蛍石 ナイフでわずかに傷がつく
3.5 さんご、真珠
3 大理石、方解石 ナイフで傷がつく
2 石膏、海泡石 爪でもわずかに傷がつく
1 滑石 爪でも簡単に傷がつく


●ヌープ硬度


硬さの順番を表すモース硬度に対して、実質的な硬さを数値で示したのがヌープ硬度です。アメリカのヌープ博士が考案したもので、ダイヤモンドの先端で、結晶の表面に傷をつけた時の圧痕で硬度を測定した表です。

モース硬度に比べてより科学的なので、工業用材料や加工技術面ではヌープ硬度が用いられます。


右表の数字はモース硬度です。ダイヤモンド(モース硬度10)が硬度がとびぬけて高いことが証明されています。
 

●硬度とじん性

衝撃などに対する抵抗力、ねばり強さを「じん性」といいますが、これは傷のつき易さや摩擦の程度を決定する硬度には一致しません。ジェダイト[翡翠(硬玉)]はそれほど硬度は高くありませんが、じん性が高いため非常に丈夫な宝石です。


●へき開

結晶において、一定方向に平滑に割れることをへき開と言います。たとえ硬度が高くても、強い打撃により割れることがあるのはこのためです。
(例:ダイヤモンドやトパーズなど)


比 重

比重とは、石の密度を示す値です。石の重さと、その石と同じ体積の水の重さを比較して求められます、比重の値が大きいほど重いということになります。

右の表からも分かるように、同じ大きさでもサファイア(比重4.00)はエメラルド(比重2.71)よりも重いということです。 比重は宝石の価値、値段とは直接関係なく、石の鑑別に役立ちます。








 
宝石名 比重
オパール 2.10
水晶 2.65
エメラルド 2.71
真珠 2.71
トルコ石 2.80
ラピスラズリ 2.80
トルマリン 3.06
ひすい 3.33
ペリドット 3.34
ダイヤモンド 3.52
トパーズ 3.54
スピネル 3.60
マラカイト 3.80
ルビー 4.00
サファイア 4.00

屈 折 率

研磨した宝石に光を当てると、空気中から宝石内部に入った光は折れ曲がってその進路を変えます。その屈折の程度を示す値が屈折率で、光の反射する度合いを表します。

屈折率が高いほど、反射する光の量も多くなります。最も高い数値を示すのはダイヤモンドで、中でもブリリアント・カットは高い屈折率を生かす、最も効果的なカットといえます。

屈折率は鉱物の種類ごとに異なるため、鑑別する上で最も重要なデータとなります。

 
宝石名 屈折率
ダイヤモンド 2.419
ガーネット 1.70〜1.89
ルビー、サファイア 1.76〜1.77
スピネル 1.717
ペリドット 1.65〜1.69
ひすい 平均1.66
トパーズ 1.62〜1.63
トルマリン 1.62
エメラルド 1.57〜1.58
水晶 1.54〜1.55
オパール 1.42〜1.47

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