映画の中のジュエリー
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ストーリー

 真っ赤な金魚たちが宙を泳ぐ。大門をくぐると、そこは華やかな吉原遊郭。
遊郭<玉菊屋>に連れてこられた8歳の少女は、きよ葉と名付けられた。口が悪く誰にもなつこうとしないきよ葉の面倒をみることになったのは、絶世の美貌と知性を併せ持つ完璧な高級花魁・粧ひ(菅野美穂)。女だらけの世界に嫌気がさし、きよ葉は脱走を図るがあえなく失敗。厳しい折檻を受けても逃げ出すことをやめようとしないきよ葉。だが、自分から「吉原一の花魁になってやる」と言ってしまう。その気にさせたのは粧ひだった。
やがて、17歳になったきよ葉(土屋アンナ)は「十年に一度の天女」と楼主が誉めるほどの女に成長し、店に立つ。

         監督:蜷川実花   原作:安野モヨコ
          脚本:タナダユキ  音楽:椎名林檎
                                 2007年 日本
きよ葉の衣装や髪飾りには、はっきりとした朱赤や黒が多く使われています。

監督は、鮮やかな色彩と独自の世界観で、写真史を塗り替える衝撃をもたらした世界的フォトグラファー 蜷川実花。妥協が一切許されない「江戸・時代劇」により、華々しくデビューを飾ります。彼女は、今までに描かれて来た幾多の「花魁悲劇映画」ではなく、いつの時代も変わらない活き活きとした“女性のリアル”を追求し、切なくもやさしい“感情”を込めることに成功。さらに派手派手しいVFX、合成に頼らず、彼女独自のヴィヴィットな色彩感覚をも存分に発揮しています。


映画の中のコスチューム

映像の隅々まで最新の注意が払われ、衣装や装飾品にも大変凝った演出がされています。それぞれの人物が纏う衣装からはそれぞれのキャラクターが伝わってくるよう。装飾品はべっ甲や珊瑚などがかんざしとして登場人物の髪を彩ります。衣装も装飾品もとても華やかで艶やかです。

幼少期のきよ葉の面倒を見る高級花魁粧ひ(菅野美穂)。
気品があり、その美しさは「絶世」といわれるほどで、人気は吉原でトップクラス。
早くからきよ葉の才能に目をつけ、「吉原一の花魁になる」と決意させます。

衣装にはピンクや紫などが多く、粧ひの女性らしく気品あるたたずまいによく似合います。
また部屋もピンクなどの女性らしい色合いが使われ、屏風には一面に華やかな牡丹の花が描かれてあります。
衣装や部屋からも登場人物の輪郭が浮かび上がってくるようです。


きよ葉のライバル高尾(木村佳乃)。
玉菊屋で花魁を張る美女。
しかし、目の上のたんこぶであるきよ葉に、自分の客、そして想いを寄せている浮世絵師・光信がなびいてしまい、気持ちを乱します。

彼女の衣装も部屋も寒色が多用され冷ややかさ、近寄り難さを感じさせます。
また、衣装には鶴の模様が使われていますが華やかな鶴の模様と高尾の内面の孤独や苦悩とが対照的です。

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きよ葉はやがて「玉菊屋」の看板をを背負って立つ花魁「日暮」となります。
右は日暮の花魁道中での装い。
監督が花魁となってからの主人公のイメージは「赤」と「黒」というように花魁道中での衣装も赤と黒を基調に粋に仕立てられています。
また帯がゼブラ柄なのも斬新。
髪飾りも華やかで銀細工にべっ甲に珊瑚と日本古来のものが贅沢に使われています。
花魁道中は大変なお金がかかったそうですが花魁の衣装や装飾品からも花魁道中がいかに豪奢なものだったかが想像できます。



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