映画の中のジュエリー
<戻る>

『ムーラン・ルージュ』

ストーリー

 舞台は、19世紀末のパリ・モンマルトル。ナイトクラブ『ムーラン・ルージュ』のトップダンサーであり高級娼婦であるサティーン(ニコール・キッドマン)に、作家志望のクリスチャン(ユアン・マクレガー)が恋をする。最初は冷たくあしらっていたサティーンも、次第にクリスチャンの誠実な気持ちにほだされ、情熱的な恋に落ちていく。
 さて、クリスチャンが書いた芝居をサティーンが主演する事になり、公爵が資金を出す代わりに、サティーンを独占しようとする。からみあう人間関係&利害関係に、二人に運命は・・・?

監督:バズ・ラーマン  2001年 米・豪
ニコール・キッドマン

映画の中のコスチューム

最初から最後までハイテンションのミュージカル映画、『ムラーン・ルージュ』。現代ポップをアレンジした音楽が、ストーリをますます盛り上げてくれます。制作費は5億ドル、セットも衣裳も目がくらむほど豪華絢爛で、まるで錦絵のよう!

幕やらカーテンやら絨毯やら、真っ赤な画面が印象的ですが、使用された赤のベルベッドは、5,125メートルですって。
↓何だか『スターウォーズ』に出てきそうだな。サティーン サティーン

それにしても、これでもか、というばかりにあでやかでしたね、ニコール・キッドマン。サティーンの衣装は、その名のごとく、サテンとダイヤモンドをふんだんに使ったもので、胸の開き具合といい、編みタイツといい、セクシーダイナマイト炸裂だー^^。

頭につけるキンキラキンな装飾はさておき、ぶら下がりタイプの耳飾りが多かったですね。シンプルなドレスの時も、さらさらと揺れる耳元がセクシーでした。

衣裳を手がけたキャサリン・マーティンは、監督の奥さんなんですねぇ。デザインは、ちゃーんと19世紀当時のダンサーの衣裳をリサーチし、それを現代風にアレンジ。もちろん、コルセットを当時のものよりも短くしたり、スカートに工夫をしたり、踊りやすさにも配慮したとか。とはいえ、インタビューではニコールも、「紐でものすごく締めつけるの〜。息をするたびさらに締めつけられて大変だったわ〜。」とおっしゃってましたが。撮影中、ニコール・キッドマンが2度も肋骨を骨折したといいますから、そのコルセットのせいなのかしらん。

ナイスなバディに似ず、意外とかわいらしい歌声で、そのギャップも新鮮でした。


ダイヤモンドネックレス“サティーン”
ネックレス“サティーン” サティーン

総計134カラットの本物です。

どーしてもサティーンをものにしたい公爵が、彼女に贈ったダイヤモンドのネックレス。首をすっぽり包み込む超豪華なネックレス(ていうか首にささりそうな勢い)・・・・これは何と、映画のためにわざわざ製作された本物のダイヤモンドレックレス!ふつう、フェイクか、良くてもレンタルジュエリーですもん。すごいこだわりようです^^。映画用に制作したジュエリーとしてはもっともお高い一品だとか。

デザイン&製作は、オーストラリアの宝飾デザイナー、ステファノ・カンチュリ氏。彼は、世界最大級のダイヤモンド会社ロージィ・ブルーが研磨・カットしたダイヤモンドの中から、ネックレスに使用する石を自分で選り抜きました。19世紀末のパリらしさを出すため、セッティングも当時のやり方というこだわりよう。

使用したのは、エメラルドカットのダイヤ5カラットを含む、総計134カラット、全部で1,308個!その名も“サティーン”・・・・いや、そのままなんですけどね(笑)。ちゃーんと、ニコールの首の長さや形に合うよう精巧に作られています。デザインに1ヶ月、製作には3ヶ月もかかったとか。

いやしかし、水を差すようで何ですが・・・・このネックレス、もちろん、まばゆいばかりに美しくきらびやかなんですが、いかんせん、映画自体がきんきらきんでギンギラギンなもんで・・・本物だからって、特にそないに目立ってなかったような・・・。といいますか、派手派手のスクリーンに、もうすでに目がチカチカしちゃってるんです。(結局サティーンも、もらったものの逃げてっちゃうしな〜。)フツーの恋愛映画なんかで使用すればそれこそ目玉になったでしょうが・・・・。いや、別にいいんですけどね^^;。


ガーランドスタイル

19世紀当時のセッティングとして採用されたのが、「ガーランドスタイル」というもの。「花綱飾り」や「花手綱模様」とも呼ばれますね。花や葉が組み合わさったデザインを、プラチナ台に糸ノコギリで引いて、精巧な透かし模様を作っていく、という技法。繊細に仕上げるため、熟練の技が必要なのです。

このガーランドスタイルの生みの親は、カルティエの3代目当主である ルイ・カルティエ。
19世紀末、プラチナが積極的に使われるようになり、アフリカではダイヤモンド鉱脈の発見され、ダイヤモンドラッシュが起こりました。そんな中、ルイは18世紀の建築装飾にヒントを得て、プラチナと小粒のダイヤを組み合わせ、お花をモチーフにジュエリーを製作したのです。これがガーランドスタイルとして、瞬く間に広まっていきました。

オークションの行方

映画で使用された後、「"サティーン"は2001年10月22日と23日にニューヨークのクリスティーズでオークションにかけられまーす。欲しい人はいらっしゃーい」みたいな告知が大々的になされました。落札価格は70万ドルから100万ドル(約8400万円から1億2000万円)ほども予想されており、さぁいったい誰が落札するのか?と期待が高まったものですが・・・・・。最後の最後になって、デザイナーさんが、出品を取りやめにしたのですって。何でも、始まる数分前に電話してきて、「やっぱり手放すのが惜しい」って^^;。そりゃ、そこまで愛着込めて作ったんだから分かるような気がしますが、じゃあ最初からしまっとけよ〜って思いますね(笑)。

topへ