映画の中のジュエリー
<戻る>

 ロード・オブ・ザ・リング

ケイト&イライジャ『ロード・オブ・ザ・リング』といえば、“20世紀最高の文学”と言われる『指輪物語』(J.R.R.トールキン原作)の完全映画化作品。その壮大なスケールと高度な映像技術で、世界中の人を魅了しています。

Jキチでは、あくまで「ジュエリー」という観点からこの映画をとりあげたいと思います。詳しいストーリーやキャスト、原作関連については、既にすばらしいページが複数存在していますので、そちらをご覧ください。手抜きではありません、念のため(笑)。
(→関連リンクはこちら

※『ロード・オブ・ザ・リング』は3部作です。第1部(「旅の仲間」)に関してはネタばれがありますので、ご了承くださいね!


+++ひとくちストーリー+++
舞台は、遥か昔の中つ国。冥王サウロンの「一つの指輪」を手にしたホビット族の青年フロドを中心に、勇気ある9名の仲間が集い、指輪を抹消すべく冒険へ旅立つ。9人は、サウロンの追手から逃れ、使命を果たすことができるのか・・・・?




つの指輪は、空の下なるエルフの王に、
七つの指輪は、岩の館のドワーフの君に、
九つは、死すべき運命(さだめ)
の人の子に、
一つは、暗き御座(みくら)の冥王のため、
影横たわるモルドールの国に。

 一つの指輪は、すべてを統べ、
 一つの指輪は、すべてを見つけ、
 一つの指輪は、すべてを捕えて、
  くらやみのなかにつなぎとめる。
影横たわるモルドールの国に。

指輪いろいろ

「ロード・オブ・ザ・リング」なんてタイトルを聞くと、指輪はひとつだけな感じがしますが、英語では「Lord of the Rings」で、指輪は複数なんですねぇ。もちろん、次に紹介する「一つの指輪」がもっとも重要なわけですが。

実際、映画の中では「一つの指輪」にしか焦点はあたってませんね。でも、せっかくなので、原作を織り交ぜ、他の指輪についても見てみましょう!

[一つの指輪]  [三つの指輪]  [九つの指輪]  [七つの指輪] 

[アルウェンのネックレス(Evenstar)]  [バラヒアの指輪]  [エルフのブローチ] 



一つの指輪
一つの指輪 イラスト
影の主役(?)ともいえる、「一つの指輪」。通販でも、オークションでも、レプリカが出回ってますよね。火の中に入れると、邪悪なセッセージが浮びあがってくるというスグレものです(笑)。

-------豆知識------------------------------------------------
冥王サウロンはとっても悪い奴で、昔々、エルフの高名な鍛冶師をそそのかして魔法の力のある指輪を作らせました。自分は自分で、密かにこの「一つの指輪」を作っちゃう。これは、彼の力の大部分を吹き込んだもので、他の指輪を支配する力がある、えらいもんに仕上がります。鍛冶師によって作られた指輪のうち16個は、サウロンによって7人のドワーフの王と9人の人間の王の手に渡ります。最後に作られた3つの指輪は最も強力で、しかもサウロンの企みに気がついたエルフの鍛冶師がちゃんと隠して保管。かわいそうに鍛冶師さんは殺されちゃいますし、戦争がはじまってしまいますが、何とかこの3つは奪われずにすみました。このエルフの「三つの指輪」ですら、やっぱり「一つの指輪」には太刀打ちできないわけです。恐るべし、サウロン!
------------------------------------------------------------------------------------

何やかんやあって、この「一つの指輪」が主人公フロド(イライジャ・ウッド)の手元に渡ってから、物語はスタート。でも、サウロンが狙っているし、指輪自体もパワフルで、所有しているだけでもキケン!しかもどんな高熱でも溶けないし、あまりにも丈夫だという。解決策はただひと〜つ!指輪を、それが鋳造されたもとの特殊な業火の中、すなわちモルドールの火の山に投げ込むことなのです。こうして、冒険が始まるわけですが・・・・・・・モルドールの火の温度と成分が気になる管理人です^^;。

さて、映画の中に登場するこの「一つ指輪」、宝石に携わる人間から見ても、かなり「いい仕事してます」。形が完璧に整いすぎですと、大量生産っぽく見えるし、でこぼこすぎたらヘタな職人さんまるだしになってしまう。薄すぎると安物っぽいし、かといって太すぎると、これまた品格がなくなっちゃう。程よいプロポーションで、手造り感が出てました♪ 

原作の描写では、“made of pure and solid gold”。これだけじゃ、丸みのある甲丸タイプか、ぺたんこの平打ちか分かりませんが、程よく丸みをつけたデザインにしたのは、成功ではないかと思います。ちなみに、イタリー製品などで、どでかいデザインのリングがありますが、中空のものが多いんですよね。または、見える部分だけが地金で、裏はくりぬいてあるものとか・・・。この「一つの指輪」は、中身がつまったもの(無垢と呼びます)でしょうから、見かけよりは重いかもしれません。

監督いわく、この「一つの指輪」に存在感を与えるように努力したらしい。そりゃそうでしょう、実際は小さなリングに過ぎませんものね。デザインを凝ったのは言うまでもなく(シンプルなものほど、かっこよく作るのは難しいんですよ!)、カメラワークも工夫。アップのシーンも多く、見上げるようなアングルなどなど、ほんと、底知れぬパワーをもってそうに見えます。

浮かび上がる文字は、実際は刻印されてません(当たり前)。文字の部分はデジタル部門で処理したとか。あんな複雑な文字彫るの、大変そうだもの(笑)。

最後に、「一つの指輪」のレプリカを購入するなら、できるだけ映画で使われている本物に近いシェイプを手に入れたいもの。24金は、純金だから豪華ですが、18金に比べて柔らかいので、普段付けには適してないかも。すぐにキズいっちゃいますよ。保管用 or たまのおしゃれ用にはよろしいかと。




三つの指輪

エルフが所有する三つの指輪。サウロンに奪われずにすんだ三つですね。この三つの指輪の力で第三紀の平和が保たれていたといいます。「攻撃用」というよりは、「防御用」って感じですかね。
映画では名前までは出てきてなかったと思いますが、このネーミングセンス(エルフ語)はなかなかよろしいと思いません?
映画の冒頭シーンで、三人のエルフが受け取っていますが、果たして現在の持ち主は・・・?

ネンヤ Nenya   水の指輪  石:アダマント
所有者はガラドリエル(ケイト・ブランシェット)。あまりはっきりとは出てきませんが、右手に注目!

ニュージーランドのジュエリーデザイナー、Jasmine Watsonさんのデザイン。花のような、星のようなシェイプがすてき!(後述するアルウェンのネックレスやエルフのブローチ、また登場人物がつけているサークレット(額冠)など、アール・ヌーボー調の装飾品は彼女のデザインです。)
ネンヤ
ケイト・ブランシェット
ほんとに、とってもいいデザインだと思います。映画とは関係なく、どこかのブランドが出してもおかしくないような。「一つの指輪」と違って、オリジナルと同じようなレプリカを作るのはなかなか難しいのではないかしら?

原作では、地金の部分はミスリル、石はアダマント。(指輪の別名が Ring of Adamant です)。「Adamant:アダマント」とは古代ギリシャ語で「征服されざるもの」の意で、ダイヤモンドの語源です。単にダイヤモンドの古い言い回し、と考える人もいれば、ダイヤモンドとはまた別で、より硬くて輝きも優れている石、と考える人もいます。 『指輪物語』では、ダイヤモンドよりも優れた石として「アダマント」を使っていると思うのですが。。。いやどうなんでしょう?

ちなみに、「金剛石」は和名ですが、サンスクリット語で堅固を意味するバサラに由来すると言われています。カタそうな名前ですもんね。

映画で使われた指輪の素材は、台が純銀で、石はキュービック・ジルコニア。 さすがに、ダイヤモンドは高くて使えませんね〜。
エルフの衣裳にも工夫が。明るく軽やかに見えるよう、繊細な布を重ねて、ドレープきかせています。


ヴィルヤ Vilya  風の指輪  石:サファイア
ヴィルヤ現在の所有者は、裂け谷のエルロンド(ヒューゴ・ウィービング)。三つの指輪の中で最も強い力を秘めているらしい。原作では、金台に、サファイアがセットされています。

「風の指輪」が定訳ですが、原作では“Ring of Air”なんですね。「空気の指輪」じゃ、あまりかっこよくないな、そういえば。

サファイアは、古代より聖なる石として崇められてきました。落ち着いたサファイアが「一番力を秘めた石」という設定なのは、やはり三つの指輪が攻撃よりも守りの役割を果たすものだからでしょうか。


ナルヤ Narya  火の指輪  石:ルビー
火いえば、やっぱりルビー。原作では、地金の記述は見当たらないようです。さて、現在の持ち主は誰なんでしょう??




九つの指輪

サウロンが人間の王達に与えた九つの力の指輪。 悲しいかな、王達はあっさりサウロンに支配され、恐るべき指輪の幽鬼(ナズグル)になってしまいました。映画の中に出て切る真黒な九人衆がそうです。悪者ですが・・・・・かなりかっこよいですぞ、黒の乗手。


←九人のリーダーともいえる魔王(ウィッチキング)の指輪。他の八人がどんな指輪してるか分からないのですが、一応、これが「九つの指輪」の一つだと思うんですけど(あいまいでごめんなさい^^;。)ドクロに目玉です。なんか、ヘビメタ系です。
もし、これが「九つの指輪」の一つであるなら、エルフの鍛冶師さんは、もともとこのデザインで作ったのだろうか、なんて余計なことを考えてしまう管理人です。それなら、あまりにファンキーだぞ、鍛冶師さん!それか、サウロンの力によってこんないやぁ〜な感じのデザインに変わってしまったという設定なのか・・・・。




七つの指輪

サウロンがドワーフの王達に与えた力の指輪。人間達と違って、ドワーフたちはサウロンの奴隷にはなりませんでした。結局、そのうち三つはサウロンによって再び奪われ、四つは竜の火によって焼かれたといいます。どうでもいいけど、指輪って全部奇数なんですね〜。



その他のアイテム

アルウェンのネックレス(Evenstar)

エルロンドの娘、アルウェン(リブ・タイラー)がアラゴルン(ヴィコ・モーテンセン)に贈ったネックレスが、この“Evenstar”。アルウェンはその美しさから、“Evenstar”=夕星(ゆうづつ)姫と湛えられており、このネックレスはまさに彼女にシンボルだったわけです。

これを愛するアラゴルンに渡す、すなわちあなたのためなら、エルフの不死の命を捨てたったいいわ〜、という美しいシーンです。というわけで、途中からはアラゴルンがつけております。
Evenstar
リブ・タイラー
原作には、このシーンはありませんね。こういう名前のネックレスも登場してないと思うのですが(?)、今後のとあるアイテムの伏線にはなっているカモ?

素材は、純銀台にスワロフスキー・クリスタルです。男性でも、女性でもつけられそうなデザインですね!


バラヒアの指輪 (Ring of Barahir)

バラヒアの指輪アラゴルン(ヴィコ・モーテンセン)が左手の人差し指につけている指輪。いわゆる『指輪物語』の「指輪」ではないと思うのですが、アラゴルンの登場シーンが多いため、映画ではけっこう登場します。アラゴルンの祖先の宝物だとか。

“目の部分にエメラルドがはめられた二匹の蛇が、花冠の下で相対する形をかたどった・・・”、とかなんとかいうのが原作の記述。ていうかこのイラストでは、蛇の目というより、指輪の真中がエメラルドっぽいですが^^;。

一見邪悪そうなヘビヘビの指輪ですが、ヴィコ・モーテンセンの指にはまると、不思議と格調高く見える・・・・・と思うのは、わたしだけでしょうか?


エルフのブローチ

エルフのブローチ  ガラドリエルが旅の仲間達にプレゼントしたブローチ。映画の中では、このプレゼントシーンがカットされていますが、DVDには入るのでしょうね。

ロスロリアンのシーンのあと、みんな仲良くこの葉っぱのブローチをつけております。なぜにいきなりお揃いか、とツッコミそうになりますが。

いろんな素材で作れそうですね、このブローチ。映画で使われたオリジナルは、純銀台に、透明の樹脂を何層も重ねたもの。緑に独特のつやがあって、とってもきれい!


注記:なにせ、『指輪物語』の資料は膨大なもので・・・。内容が間違っていたらごめんない。(ご指摘いただければうれしいです。←ずうずうしい) なお、ここで「原作では・・・」といった場合、『指輪物語』本編以外のトールキン作品も参考にしていますので、ご了承くださいね。
(2003. 6. 19)
topへ