衣装担当のルース・マイヤーズは、この作品でアカデミー賞にノミネートされました。が、しか〜し、専門家たちから言わせると、歴史には100%忠実でないということです。ただ、時代考証の忠実さよりも、舞台の雰囲気や俳優さんたちのスタイルに合わせてアレンジしたのであろう、と好意的に見られている場合の方が多い・・・・・かな?
デザインがチガウ、なんていわれても、21世紀を生きるわたしにはあんまりよく分からないのですが(笑)、映画の中の衣装は、全体的にちょっと早めの時代(1805〜1815ぐらい)の雰囲気だそうな。かと思えば、モダンなものもあったりして、ところどころチグハグらしい。ハイウエストで軽やかな特徴は出ていますが、いわゆるリージェンシー様式では、袖はもうちょっと長めで、あんまりふくらんでいないし、ひだひだの装飾も見られないそうな。
袖を本来よりぐぐっと短くしている分、映画の中ではショールやらストール(同じようなもんか)が多用されています。色の淡〜いドレスの上に、ピンクや水色がふんわり重なって、背景に映えるんですよね〜^^。がしかし!男性人は、シャツはもちろん、ベストやらジャケット(もちろん長袖!)やら、ぶ厚そうな服を着込んでいるのに、女性人の身軽なこと!いくら南部とはいえ、夏でも涼しい日の多いイギリス、ぜったいあれじゃ寒いはずや〜〜〜!
さて、映画の中で登場するジュエリーも“こてこて”していません。この時代では、優美な、どちらかといえば華奢なものが好まれたようです。パーティシーンでは、心持ち大ぶり(中ぶりといいたい)のジュエリーもつけられていますが、普段使いのものは本当にシンプル。素肌にさらさらっとつけこなせそうなものがほとんどですね。
個人的には、グヴィネスが多くの場面でつけている、ぶらさがりタイプのイヤリングがステキだと思いました。ほのかにゆれて、スレンダーな彼女のイメージにぴったり!あと、上のイラストでウェストン夫人(グレタ・スカッキ)がつけている、耳飾りとネックレスとブレスレットのセットがいい感じ。星のような、花のようなデザインがつらなっているです。彼女は、映画の中でも「淑女の鏡」みたいな位置付けですので、ワンランク上のおしゃれが光っております。
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エンパイアドレス
さて、現在では、ハイウエストのドレスを一般的に「エンパイアドレス」と呼んでいます。ウエディングドレスを選ぶときにも、耳にするコトバかと思うんですが。もともと、ナポレオン1世がブイブイ言わせていた頃(死語?)、つまりエンパイア時代(1804〜1825)に流行した、ハイウエストで直線的の流れるようなドレスを指したコトバです。女性の体のラインを美しく強調するクラシックなスタイル。(皇后ジョセフィーヌやレカミエ夫人の絵の中で見られるスタイル。)リージェンシー様式のドレスも、今でいうとこの部類に入りますかね。
さて、当時パリで大流行したエンパイアドレス・・・・・これは、薄い絹やモスリンといった、うす〜い透ける生地を用いた、簡素なシュミーズのようなものでした。もちろん腕も出しちゃったりして。下着丸出しのこのスタイル、男性たちにはずいぶんセクスィーにうつったことでしょうが。。。。。冬でもこの格好だったそうで、案の定パリでインフルエンザが大流行。貴婦人が次々とお亡くなりになる事態を招きました。そして、だんだん上に色々着込むようになり、生地も分厚くなっていきました。
ここまで薄い生地ではないにしろ、リージェンシースタイルのドレスも、やはり今から思えば、寒そう!
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