映画の中のジュエリー
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『鳩の翼』
ストーリー

 1910年代、ロンドン。没落した貴族の娘ケイト(ヘレナ・ボナム・カーター)は、叔母(シャーロット・ランプリング)の元に引き取られている。階級の違いもあり、貧しい新聞記者の恋人マートン(ライナス・ローチ)との結婚に踏み切れない。
 そこに現われたのは、不治の病に冒された身寄りのない大富豪のアメリカ人ミリー(アリソン・エリオット)。彼女は純粋な心の持ち主で、マートンにひかれていく。 ミリーとの友情を育てながらも、ケイトの心にある策略が潜む。
 舞台はベネツィアに移り、3人は恋の迷路に迷い込んいく・・・。

監督:イアン・ソフトリー  1997年 イギリス
原作:ヘンリー・ジェイムズ
鳩の翼

灰色の空のどーんよりしたロンドンから、神秘的で自由な(?)ベネツィアへと舞台が移動していくストーリー展開はなかなか。(といっても、イタリアの太陽の下でも、人間関係はますますどんよりしていきますが(ToT))。女性陣の衣装はもちろん、ロンドンでのパーティーシーン、ベネツィアでの歴史を感じさせる豪華なホテル、水に浮ぶゴンドラ、カーニバルのシーンなど、視覚的にうっとりできる映画です。途中に登場するクリムトの絵画が、美しくも不安感を煽る感じで◎。


映画の中のコスチューム

衣裳デザインはサンディ・パウエルで、アカデミー衣装デザイン賞にノミネートされたましたね(この人は『恋におちたシェイクスピア』ではでアカデミー賞を受賞した実力派です)。ひらひら〜としたドレープ感が、重くるし〜いストーリーにもぴったりなのです。

さて、舞台の始まりはエドワード朝のイギリス。ケイト(ヘレナ・ボナム・カーター)は、最初は、やや冷めた感じではあるけれどもちゃんとかわいい笑顔も見せたりする情熱的な娘さん。彼女をひきとった叔母(シャーロット・ランプリング)が冷たく計算高い人で、オーラでまくり(笑)。パーティで結婚相手を見つけなくっちゃ、とばかりにケイトを飾りたてます。上のイラストのネックレスをつけてあげるのですけど、繊細な作りでも存在感のあるアンティーク・ジュエリーでとてもすてき♪

ストーリーが進むにつれ、ケイトの表情がどんどんすさんでいきます。彼女の衣裳は黒が多いですね、倦怠感のある目つきにぞくぞくぞく・・・・。羽飾りのついた帽子がよく似合うんですよねー。対するミリー(アリソン・エリオット)は純粋そのもの、明るめの衣裳に天真爛漫な笑顔が際立ちます。死を感じながらも健気に明るく生きようとする姿が泣かせますぅ。「鳩の翼」は、イギリスでは「無垢」を意味するとか。「鳩の翼があれば、自由に飛んでいけるのに・・・」みたいなセリフもありました(すみません、ウロ覚え)。

金糸の施されたパーティドレスもすてきですが、ゆったりめのオリエンタル風の衣裳もよく登場します。下のイラストは、すべてミリー。主役をさしおいて何ですが、イラストの書き甲斐のある衣裳を身に着けてくれるものだから・・・(笑)。

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おしゃれなのか・・・どうなのか
微妙なファッション。
ミリー

風にひらひら舞いそうな
ゆったりドレス。
(2004. 5. 13)
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