映画の中のジュエリー
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『アンナと王様』

ストーリー


 舞台は19世紀末のシャム(現在のタイ)。シャム国王(チョウ・ユンファ)の子供の家庭教師として、イギリス人の未亡人アンナ(ジョディ・フォスター)が息子のルイ(トム・フェルトン)と共に招かれた。
 国王を頂点とした封建社会を築き上げていたシャム王国、その文化にとまどいながらも、子供たちの教育に情熱を注ぐアンナ。国王とぶつかることは度々あった。しかし高い信念をもって自国の開放を願う国王とアンナの間に、いつしか特別な感情が芽生えていく−。

監督:アンディ・テナント  1999年 アメリカ
ジョディ・フォスター

総製作費7000万ドルという歴史スペクタクル、『アンナと王様』。本国タイでは撮影が許されなかったので(上映すら禁止)、国王の宮殿やら寺院やらは、マレーシアに建設された巨大セットだったというから驚きです!撮影環境はずいぶん過酷だったらしく、ジョディ・フォスターは打撲に捻挫。監督は骨折するわ、落下による死亡事故なんかもあったとか。

ユル・ブリンナーとデボラ・カーが演じたミュージカル映画「王様と私(1956年)」と比べてみるのもおもしろいですよ。


映画の中のコスチューム

さてさてこの映画、舞台セットもすごいけど、コスチュームも見ものです。時代考証された衣装は5000着にも及んだそう。そりゃ、国王ファミリーだけでも、妻23人、側室42人、子供が58人ですからなぁ(笑)。主な舞台が宮廷なわけで、そりゃあ衣裳もきらびやか!金糸織りの、贅を尽くした王族の民族衣装がぞくぞくと楽しめますヨ。絢爛豪華な晩餐会のシーンでは、西洋風のドレスもたーんと楽しめます。

アンナ アンナ アンナ
 
↑まず、アンナに衣裳に注目してみましょう。周りがアジアの民族衣装の中、ふわっとすその広がったドレス姿はとても目立っていました。そしてほどよく「地味め」間が伝わっていてよかったですよ。そりゃ、ゆうても家庭教師、高級生地のビラビラドレスで宝石じゅらじゃらだったら、かえっておかしいですもんね。デザイン自体は悪くないんでしょうが、程よく色あせたような生地などが、マジメなイギリス女性感(?)を醸し出しておりました。


←舞踏会のシーンではさすがにもうちょっとエレガント、白いドレスがひときわ印象的でしたね!髪の毛だって、お姫様パーマっぽくって、ばっちりおしゃれ♪耳元はパールでしょうか、白でまとめたコーディネートがアンナの気品をさらに高めていました。

バイ・リン

王へ献上の品として連れてこられたタプティム(バイ・リン)。衣装はもちろん、乗り物まで金ぴかで、豪華極まりないですね〜。実は彼女には好きな人がいて、悲劇的な運命を迎えることになるんですけど、そのはかなさが美しゅうございましたね。

タプティムの他、国王の側に仕える王妃達も、金糸織りのサロンや肩掛けとまとい、とても華やかでした。国王をはじめ、男性人だって、お子たちだって、きんきらきん♪なんせ、人数も多いから、いかんせん派手さが増します(笑)。オリエンタルな雰囲気には、やはり金色が合いますものね。

この民族衣裳ですが、チェンマイの織物を使い、エキストラ分のサロンだけでも、15kmの生地を使ったとか!余ってるなら、お一ついただきたいところですわー。





小粋な小道具−指輪

シャム王国を文明国として認めさせよう〜ということで、アンナが企画したのは、英国大使達を招いての晩餐会。これは見事成功に終り、翌朝、王はお礼としてアンナに指輪をプレゼントしようとします。「あなたの指が、寂しそうだったから。」なんてセリフつき、まーなーんてロマンチック♪(アンナは王の側室の一人に、亡夫から送られた結婚指輪を捨てられていたのです。)

でも彼女は、それを受け取りませんでした。間もなく、まだ小さかった王女が病死。王をなぐさめようとするアンナに、王は言います。泣き夫の死を乗り越えていない君からの慰めはいらない、と。君は母親・家庭教師として生きていて、女として生きていないから指輪を受け取らなかったのだ、と。

なんか切ないシーンでしたね。シャム王国が閉じた世界であったのと同じく、アンナの心も夫の死によって閉ざされていたわけで・・・・・。

ところで、『王様と私』の方では、王(ユル・ブリンナー)は、自分の指にはめていたエメラルドの指輪をアンナ(デボラ・カー)の指に勝手にはめちゃいます。こっちのアンナは、戸惑いながらもいったんは受け取るんですね。これはこれは、すてきなシーンだと思いますわ^^。



知識メモ−エメラルド寺院

映画にも登場するエメラルド寺院(ワット・プラ・ケオ)について少しばかり。映画の中のものはセットですが、このエメラルド寺院は本国タイでも有名な観光スポットであります。

エメラルド寺院は、王宮内に設けられた王室の守護寺院。タイとヨーロッパの建築様式が組み合わさったような王宮内で、色彩豊かな建築を誇っています。(現在は、国王は王宮には住んでおらず、儀式なんかに使われるだけだそうです。)

エメラルド寺院ときくと、んまっ、エメラルドでできた寺院!?なーんて思ってしまいますが、ここの本尊が、「ひすい」でできた仏像なんですね。最初、エメラルドと間違えられて呼ばれていたらしく、その名が定着したということです。映画の中でシャム国王(チョウ・ユンファ)がこの仏像に祈りを捧げたシーンがありましたね。ただ、「ひすい」だって十分高貴な宝石なんですから、「エメラルド」なんて呼ばれて感じ悪いんじゃないでしょうかね(笑)。管理人も実際、この仏像を見たことがありますが、神聖さよりも、「うお、ひすいだよー。きれーだなー。」なんてミーハーな感想の方が強かったです^^;。

この仏様、年3回衣替えがあるそうですよ。観光者にとっては必見のエメラルド仏、もちろんタイでは神聖な御仏様で、国の守り本尊。写真に撮るのもダメ、足を向けたりすることもダメなんですって。高さは玉座含めて66cmです。

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