歴史の中のカメオ

最初カメオが歴史に登場したのは、キリストが誕生する300年も昔のアレクサンドリア(エジプト)とされていますが、カメオそのものの起源は、古代の彫刻慣習にまでさかのぼります。紀元前15000年、人々はすでにpetroglyph(先史時代の岩石線画、彫刻)を利用して重要な出来事を記録したり、情報を伝達していたといわれています。


カメオは、その歴史上必ずしも女性たちの装飾品であったわけではありません。装飾品以上にお守りとして神聖視されていた古代では、むしろ男性たちによってつけられているのです。また古代においては、カメオは道徳を描いたり、信仰や忠誠を表現するために用いれらていました。


ギリシャ・ローマ時代では、めのうで作られたストーン・カメオが人気で、シェル・カメオが登場するのはずっと後です。その頃のカメオの主題は神々の姿、神話、美しい女性や聖書の出来事が中心でした。

ルネッサンス時代、パウロ2世は熱狂的なカメオのコレクターでした。その執着があまりにも激しく、指にカメオのリングをつけすぎたため、常に体を冷やしてしまい、彼を死に近づけた、という話が残っているほどです。

16世から17世紀初頭、エリザベス時代の女性たちはステイタスの証としてカメオを集め始めました。女王自らカメオを愛したといいます。同時期、ポンペイの遺跡を訪れ観光客たちが増え、女性たちはや溶岩のカメオを集め始めました。

18世紀に栄華をきわめたロシアのエカテリーナ2世も、見事なカメオのコレクションを誇っていました。

18世から19世紀初頭にかけて活躍したナポレオンもカメオを深く愛し、自らの結婚式にカメオをつけ、パリにカメオ彫刻を教える学校を設立したといいます。

ファッション・アクセサリーとして女性たちの間で定着したのが、19世紀、ヴィクトリア女王の時代。女王自らカメオを愛し、急速にそのファッション性が高まりました。加工のしやすいシェル・カメオがストーン・カメオにとってかわり、主題も今日のようにプロフィールが最もポピュラーになりました。それ以降世界中の女性たち愛され続けています。

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